【読書】中学入試頻出『透明なルール』(佐藤いつ子)|親子で読んでみて

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こんにちは。
久々の本紹介です。

中学入試の国語では、近年出題された小説が翌年以降も頻出になることがよくあります。
佐藤いつ子さんの『透明なルール』も、2025年入試で物語文として20校以上に採用されたと聞き、入試報告会でも話題に上がっていました。

「最近の中学入試でよく出る小説って、どんな内容なんだろう?」
そんな純粋な興味から、今回あらためて読んでみることにしました。

見えないけれど確かに存在する「透明なルール」

この作品で描かれているのは、子どもたちの周囲に当たり前のように存在する「見えない決まり」。
誰かに明確に命令されたわけではないのに、空気を読み、波風を立てない選択をしてしまう。
その息苦しさや違和感が、淡々とした文章の中で丁寧に描かれていきます。

物語の中で、大きな事件が起こるわけではありません。
でも、それがかえって印象的でした。
派手な出来事がないからこそ、「守っているつもりのルールは本当に必要なのか」「自分は無意識のうちに誰かを縛っていないか」といった心の揺れが、よりくっきりと浮かび上がってくるように感じます。

中学入試の題材として使われやすい理由

読後、「なるほど、これは中学入試でよく使われるはずだな」と素直に納得。

というのも、『透明なルール』で描かれているのは、誰かに命令されたわけでもないのに、みんなが何となく守っている空気や決まりごと。学校生活や友達関係、今ならSNSなど、子どもたちが日常で感じているモヤモヤととても重なります。

それぞれが「これ、自分のことかもしれない」と感じながら読める点は、入試問題として大きな魅力だと思います。

また、登場人物の心情の変化がとても細かく描かれているのも特徴です。
ちょっとした違和感、言葉にできない迷い、黙ってしまう気持ち——そうした感情の積み重ねが丁寧に描かれているため、「なぜそう思ったのか」「どうしてその行動を選んだのか」を考えさせられます。
国語の記述問題に向いていると言われるのも納得でした。

誰かが悪者にならない物語だからこそ考えさせられる

さらに印象的だったのは、誰かが明確な「悪者」として描かれていない点です。
読んでいるうちに、「自分も無意識のうちにルールを守る側、あるいは作る側だったかもしれない」と気づかされます。

答えが一つに決まらないからこそ、読み手それぞれの考えが浮かびやすく、設問を作りやすい。
そういった意味でも、中学入試向きの作品だと感じました。

親の立場で読むと感じること

親の立場で読んでも、自分たちにもあった中学生という多感な時期を思い出し共感できます。
また、今の大人の立場からすると、子たちに「見えないルール」を課してないかと考えさせられます。

だからこそ、学校側が子どもたちに「考えてほしいテーマ」として、この作品を選んでいるのかもしれません。

親子で読んでみた感想

ボリュームはそれほど多くなく、サクッと読める一冊です。
我が家でも息子が手に取って読んでいました。
周囲をあまり気にしないタイプの息子には、正直ピンとこなかったようですが(笑)。

それでも、自分が感じない感情や立場を疑似体験できるのが読書の良さ。
「世の中にはいろいろな考え方や、いろいろな“社会”がある」ということを、少しでも感じ取ってくれたらいいなと思っています。


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