2024年度の私立中学入試で複数校に出題された作品。
村上雅郁さんの『きみの話を聞かせてくれよ』。
入試情報の何かの冊子で紹介されていたので手にとってみました。
実際に読んでみたら、ただの「出題作品」なんてもったいないほど、ぐっと心をつかまれる内容でした。
思春期の7つの物語
この本は、中学生7人の主人公それぞれの視点で描かれた短編集。
リアルで、繊細で、どの話も思春期ならではの揺れ動く気持ちが胸に刺さります。
収録作は以下の7編:
- シロクマを描いて
- タルトタタンの作り方
- ぼくらのポポリズム
- いたずら男子の計画は
- ヘラクレイトスの川
- ウサギは羽ばたく
- くろノラの物語
入試では「シロクマを描いて」や「タルトタタンの作り方」がよく取り上げられているようです。
親子で読んで感じたこと
きっかけは「入試で出る本」だったけれど、ページをめくるうちに中学受験とは関係なくストーリーそのものに引き込まれました。
思春期の不安や戸惑い、自分をどう受け止めるか、他人とどう関わるか…。
息子や娘がこれから通るであろう道に、そっと光を当ててもらったような感覚です。
それぞれの主人公が、静かに、でも確かに変化していく様子に、自分の思春期や、子どもたちのこれからの姿が重なって何度も立ち止まってしまいました。
どのストーリーもとても読みやすく、息子はもちろんですが、小3の読書好きな娘も読んでいました。
「あの話が好き」「このキャラってさ」と、登場人物についてあれこれ話す時間が生まれたのも嬉しいことのひとつ。
親子で同じ本を読むって、やっぱりいいなと実感しました。
読書の+αとして
この本はただ「国語の演習になる」だけではなく、以下のような読書効果も感じました:
- 会話文の中の心情変化をとらえる練習に
- 自分と異なる立場の登場人物の感情を想像する力が育つ
- 「大人には話せない」中学生の本音が自然にわかる
読むだけで、読解力+共感力が育つ一冊。
入試対策としてはもちろん、思春期前後の子どもたちへの“心の準備”にもぴったりです。
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